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アポトーシス
アポトーシス_f0106839_11363232.jpg


うららかな春、
みごとな薄桃色の花を枝いっぱいにひらめかせていた桜の木も、
長くなった夜と、そのとばりを吹き抜ける冷たい風に押し切られるように、
赤くなった葉を枝から散らす。
神社の玉砂利は、ほどなく錦彩のじゅうたんで敷き詰められるだろう。

アポトーシス。

個体をよりよい状態に保つための、細胞の自殺。

落葉は、次の春に命をつなげるための、植物が行う自己破壊のプログラムである。
木々は葉を落とすことによって放出されるエネルギーを抑え、
次世代への子孫を育む新しい寝床のために冬眠に入る。
アポトーシスが行われるのは、植物の体だけではない。
動物の体内でも、確実にそれは起こり、日々新しい細胞と入れ替わる。
そういう生と死が混沌と溶け合う中で、私たちは命を保っている。

紅葉に命の最後のきらめきを見、
落葉にその終わりを投影してうっすらと哀しさを覚えるのは、
私たちの内側で起こっているから目に見えない、
でも確実に訪れる個体としての終末を、
木々の四季の営みに感じるからなのかもしれない。

アポトーシス。

次世代に続く終わり。
だからこそ美しい、と、
心から思える日が来るのだろうか。

深まる秋の中で、燃え上がるように呼吸する葉を、
ただ、眺めている。
# by nasuka00 | 2006-11-09 14:17 | essay
キケンなもの
自転車通勤で気付いたキケンなモノ。

突然交差点を曲がってくる車。
歩道のど真ん中をわがもの顔で歩くご年配の方。
2列3列で並列走行している高校生。

そして何より・・・

夜、無灯火で右側走行してくる自転車!!

↑コレってマジ、正面衝突しそうになる。
絶対止めて欲しい。

車を運転しているときも思うけど、無灯火の自転車はすごく危ない。
こちらも自転車だと、ライトも車のように明るくないので、直前に来るまで気付かなかったりするのだ。道路を走行するもののマナーとして、少し早めに点灯するくらいの気遣いが欲しいものだ。近頃は、歩行者でも、買い物袋に自転車用の赤いLEDの点滅ライトを付けている人を見かける。なるほど、アイデアだなぁ、と感心してしまった。ドライバーに自分の存在を知らせることは、歩行者も運転者も、双方を守ることになる。自分ひとりの道ではないということを肝に銘じなければならないなぁ、とつくづく思った。これも自転車通勤の効果(笑)。
# by nasuka00 | 2006-04-27 21:08 | bike
自転車教本
自転車教本_f0106839_90751.jpgAmazonの書評を見て購入したこの本。

『自転車トラブル解決ブック』・・・丹生隆志 著 山と渓谷社 1,029円

画像でもわかるとおり、とてもハンディなサイズだ。厚みもそんなにない。持って歩くにはもってこい。しかし、その小ささに似ず、内容はなかなかしっかりしている。手入れの仕方からパンクの直し方、乗車姿勢に至るまで、初心者としてとりあえず抑えておきたいことが写真入で網羅されている。スポーツバイクに限らず、普通に自転車を使うときにも知っておくと便利な情報がきちんと解説されている。

自転車は、あまりにも身近すぎて・・・お茶碗やコップ、テレビや電話と変わらないくらい日常に溶け込んでいるので、意識して「知ろう」とすることは少ないかもしれない。乗れて走れて、買い物に行ければそれでいい、っていうのが、一般ユーザーである私などのまさに一般的な認識なのである。テレビがどのようにして映像を映すのか、普段考えて見たりしない。テレビ各部の名称だって知らない。それでも使えるからだ。自転車もそれと一緒。

しかし、こうやって長距離サイクリングに出ようと思ったら、パンクはもちろん、ちょっとしたメンテナンス不足が重大な事故につながるかもしれない・・・と考えるようになる。トラブルに対処するためには、そのモノをよく知っておくに越したことはない。どの部品がどんな運動に必要なのか、それがわかっていれば、ある程度の処置はできるのではないかと思う。ただ、いきなり全部は覚えきらないので、基本的なことを紹介したこの手のマニュアル本は、シロウトには大変助かるのである。

私は結構パソコンが得意だが、使い始めはファイルとフォルダの区別さえつかなかった。それが、色々なトラブルに直面し、こうした本や、他人からの教えによって、徐々に知識を積み上げてきた。使えるようになると本当に楽しい。自転車だって、それと一緒なのかも。ともかく、パンクの修理くらいはできるようにならないとね(笑)
# by nasuka00 | 2006-04-21 09:16 | goods
チューリップを目指して峠越え(笑)
チューリップを目指して峠越え(笑)_f0106839_1574743.jpg桜が終わると、次はチューリップの季節。名所と言われるあちこちで、そろそろ見頃との情報が入ってきた。遅咲きの桜を見に、山の方へドライブ、という選択肢もあったが、やっぱり自転車に乗ろう!と決意。家から14キロほど西に向かった、島根県安来市伯太町へ。車では一度行ったことがあるが、交通量の多い国道を避けて、地図で調べた県道を行くことにした。だいたい方向はわかるのだが、昔はなかった自動車専用道路や、それにつながるバイパスなどもできていたりして、印刷しておいた地図を眺めながら位地確認。どうも、かなり山の中を行くことになるらしい。峠道に入る直前に見つけたこのおにぎりのようなきれいな三角形の山。昔から、形のよい三角の山は信仰の対象になったというから、さぞ名のある山に違いない。


チューリップを目指して峠越え(笑)_f0106839_15273454.jpgここまではよかったのだが、この後の道はすごかった。歩道なんか当然なくなるし、民家もなくなるし、道はどんどん山奥へ・・・平面の地図では簡単そうに描いてあるのだが、どうしてどうして、なかなかのヒルクライム。車で走るとそんなにキツイと思わないのだが(当然か)、さすがに自力だとギアを軽くしていても辛い。ピーク手前ではついに自転車を降りて押していった。すれ違うのはトラックばかりで、人なんて歩いていない(これも当然か)。20センチほど段差のある歩道が申し訳程度につけられていたが、ブロックの隙間からかなりの丈の雑草が生え、手入れなんかされてないことは明らかである。歩行者や自転車が通ることなんて想定してないだろう~~!!??と突っ込みたくなった。


しかし、峠を登りきるとあとは下るだけ!「峠下」という地名があったので、きっとここまでだろう!と希望を抱きつつ坂を下った。快適なダウンヒル。周りはのんびりとした田畑で、時折畑作業の草刈器の音が響く。鶯が谷渡りを聴かせてくれる。花も終わりを告げた桜の木が、そここで柔らかな緑の葉を付けている。いいなぁ~・・・と思いつつのんびり自転車を走らせていたら、またまたヒルクライム!!!恐るべし県境の道!

チューリップを目指して峠越え(笑)_f0106839_15475956.jpg最後の坂を下りきると、目の前にチューリップ畑が見えてきた。鮮やかな、色とりどりのチューリップ。見たとたんに疲れが消えた。

チューリップを目指して峠越え(笑)_f0106839_1550251.jpg風車も回るチューリップ畑。ピンクのチューリップが可愛かった!


チューリップ畑にたたずむわがルイガノ。

チューリップを目指して峠越え(笑)_f0106839_15515261.jpg

# by nasuka00 | 2006-04-18 15:51 | bike
ストーリーのある旅
幼少の頃は、遠足に行くだけでも楽しかった。
どこか違う場所に行くだけで、日常が変わるような気がしたし、普段は目にすることが出来ない珍しいものに出会えたりもした。こと現在ほど流通が発達していなかった頃は、年に数回行われる近所の神社の縁日で目にするおもちゃは珍しいものばかりだったし、高校生になって初めて東京に行った時は、雑貨から本から建物から田舎では見ることの出来ないモノだらけで、激しいカルチャーショックを受けたものだ。
しかし、新幹線が走り、高速道路が国中を網羅し、インターネットの光ファイバーが家から家へ駆け巡る現在となっては、どこにいても手に入らないものはなくなったしまった。だから、「買い物のために」都市部に行ったり、ただ景色を楽しむために何日も泊りがけで出かけたり・・・ということには、目新しさを見出せなくなった。

もともと、海外に行ってDuty Freeショップでブランド品をあさるとか、珍しいものを食べに行くとか、そういうことにはあまり興味がない。確かに、地元や日本で見られないような風景を見るのはすごく刺激になると思うけど、そこに至るまでの「ストーリー」が欲しいような気がするのだ。

だから、近頃出かけるときは、必ず「テーマ」を持つようにしている。
自分の中でストーリーを組み立てて、それに沿うようなコースを回る。
それは、シャガールを求めて美術館を巡ることであったり、
古代王国の盛衰を辿るものであったり、
芭蕉の句にある風景を描きに行くものであったり、
柿本人麻呂の人物像を探るものであったり、
春は桜、夏はひまわり、秋は紅葉、冬はスキー・・・などなどの四季の行事をテーマにすることもあるし、ただ、誰かに会いたくて出かける旅もある。

家に帰ったとき、心に残る旅というのは、テーマに沿ったストーリーがきちんとつむげていたものが多いような気がする。その方がまとまりがあって、覚えておきやすいのかもしれない。

昨年までNHKで放映していた、「列島縦断 鉄道の旅」シリーズは、そういう意味でストーリーに満ち溢れていた。日本全土のJR線を乗りつくすというテーマのもと、旅人・関口知宏さんが数ヶ月に渡る列車での旅に出かけるのだが、行く先々で出会う素朴で庶民的な人々や、彼らを囲むその土地の、どこにでもある日本の田舎の風景を、テレビという媒体がどこかノスタルジックに描き出す。旅人に選ばれた関口さんもとても多才な方で、旅のイメージを曲にする作業をしてみたり、日々の感動を絵日記に綴ったりと、彼の力がストーリーを呼び起こしたという感がなくもない。実際、現在放映している「東海道五十三次 街道てくてく旅」は、あまり面白くない(笑)

つまり、テーマもさることながら、旅のストーリーというのは、旅人の魅力に負うところが大きいのだな、と思う。旅が楽しい、楽しくないというのは、全て旅する本人がいかにそれを楽しもう、そしてそこから何かを得ようとするかにかかってくる、ということだろうか。自転車の旅は、直接自分の力が試される部分が大きいので、更にストーリーになり易いのかもしれない。受身でなく、自分から向かっていく姿勢が、きっと旅を実りあるものにするのだろう。
# by nasuka00 | 2006-04-14 10:12 | tabi



なかなか旅に出られませんが、旅行に行ったつもりで一筆。

by nasuka00
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